国税庁は令和8年10月13日、税務調査で帳簿等のデータの提出を求める取組を公表しました。あわせて、Q&A(16問)も公開しています。税務調査の進め方に関わるため、要点をまとめました。
1. 何が変わるのか
- 実地の調査(職員が事務所などに来る調査)の前に、帳簿などのデータを求められることがあります。納税者の理解と協力が前提です。
- 依頼は、原則として事前通知(調査の日時などの連絡)の後に行われます。日程調整に時間がかかる場合は、事前通知より前のこともあります。
- 依頼は、調査に必要な範囲に限られます。
- 国税庁は、調査の効率化や、調査期間・拘束時間の短縮につながるとしています。
- データの取扱いの説明は、令和8年7月以降に始まる税務調査から行われています。
2. 提出の方法
- 税務署のUSBメモリ等で受け取る方法と、オンラインツールを使う方法があります。
- オンラインツールは、メール、Web会議(Microsoft Teams)、オンラインストレージ(PrimeDrive)です。税務署と納税者の双方が合意した場合だけ使われます。
- 職員のメールアドレスは「nta.go.jp」だけです。国税庁をかたる不審なメールにご注意ください。
3. 気をつけたい点
- 応じなかった場合:データの提出依頼も、質問検査権(職員が質問や資料の提出を求める法律上の権限)に基づくものです。罰則の規定はあります。ただ国税庁は、応じないことだけを理由に罰則を適用せず、強制もしないと説明しています。
- 加算税:データを提出しただけでは、「更正の予知」(調査で誤りを指摘されると分かった状態)には当たらないとの考えが示されています。ただし、個々の事実関係で判断されます。
- 提出データの扱い:行政文書として保存されます。課税処分の証拠に必要なものは、通常7年保存した後に消去されます。他の調査や行政指導に使われることもあります。
- オンラインストレージでの提出:留置き(税務署が書類などを預かること)の対象になりません。そのため、預かりを示す書類は交付されません。提出日やファイル名を、自社で記録しておくと安心です。
- Teamsでの面談:基本的に実地の調査には当たりません。チャット、録音・録画、文字起こしは控えるよう求められています。画面共有は使えます。
4. 当事務所からのお願い
- 税務署からデータ提出の依頼があったら、提出する前に当事務所へご連絡ください。提出の範囲を一緒に確認します。
- 会計ソフトのデータや領収書などは、日頃から整理しておきましょう。
- 税務署を名乗るメールは、送り主のアドレスを必ず確認してください。
ご不明な点は、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
出典: 国税庁「税務調査等における帳簿等データの提出依頼に関する取組等について」、国税庁「税務調査等における帳簿等データの提出依頼等に関するQ&A(令和8年10月)」、国税庁「税務調査等において納税者等の皆様から提出を受けた帳簿等データの取扱いについて」、国税庁「税務行政におけるオンラインツールの利用について」、TKCエクスプレス、道濟会計事務所の解説記事